Uetani Lab

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【論文】小さな力で熱流を変調する材料を報告しました

Thermal Diffusivity Modulation Driven by the Interfacial Elastic Dynamics Between Cellulose Nanofibers
Kojiro Uetani, Shogo Izakura, Hirotaka Koga, Masaya Nogi
Nanoscale Adv. 2020, 2, 1024−1030. (2020年1月20日)
DOI:  10.1039/C9NA00734B

【研究成果のポイント】

  • セルロースナノファイバーを集積したフィルム材料にわずかな引張応力を与えることで、引張方向の熱拡散率を能動的に変調できることを実証。
  • ナノファイバー界面で起こる微小な弾性ダイナミクスに応答して面方向熱拡散率が変調することを確認。
  • セルロースナノファイバーの新たな機能開拓ならびに次世代熱マネジメント技術に対して新たな方向性を提起。

【概要】

大阪大学産業科学研究所の上谷幸治郎助教と大阪大学大学院工学研究科の修士課程2年の井櫻勝悟氏らの研究グループは、セルロースナノファイバーを集積したフィルム材料に小さな引張応力を与えることで、引張方向の熱拡散率を応答的に変調できることを実証しました。従来、伝熱性を変調するには、材料のバルク領域における物理化学的構造を大きく変化させる必要がありましたが、本研究ではナノファイバー同士の接着界面で起こるごく微小な弾性ダイナミクスによって変調可能であることを明らかにしました。近年産業活用が急速に発展しているセルロースナノファイバー材料の新たな熱機能を開拓するとともに、次世代の熱マネジメント技術およびセンサリング技術に資する展開が期待されます。

本研究成果は、英国化学会誌「Nanoscale Advances」電子版に掲載され、Outside Front Coverに選出されました。
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